These are what he wrote...


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QEDシリーズ

【六歌仙の暗号】


著者:
発行年月:
出版社:
ISBN:
高田崇史
99.05.05/03.03.15
講談社ノベルス/講談社文庫
4-06-182063-X/4-06-273688-8
著者からのコメント:
 テーマは「色即是空」。
 ある金曜日の朝、トロリトロトロ目が覚めようとしていた時だった。(この言い回しが分かる人は、かなり古いと思われるので、一般の人は気にしないように)夢と現実の狭間を彷徨っていた(ほとんど夢の中の世界にいた)私の目の前に、一人の女性が現れた。そして私に向かって、はっきりとこう告げた。
「実は私、×××なんです……」
 え? と私は(頭の中で)眠い目をこすった。いきなり何を言い出すんだろう? ちょっと変なんじゃないか……。などと考えた。
だってあなたは、××××さんじゃないですか――。
 そこで飛び起きた。
 ちょっと待て待て! 何だ今の夢は?
 どうして「×××」が「××××」なんだ? 大体からして私は「××××」の顔など知らない。しかし……いや、そういわれれば「×××」は「××××」のような気もする……。
 やけに伏せ字が多くなってしまったが、つまりそういうことである。
 1番目はあれで、2番目はこれで、3番目はそれか。そして、言うも愚かにも4番目はあれで、剰え5番目はこれで、言うに事欠いて6番目はそれで、言わずもがなで7番目はあれか……。
 私は大きく嘆息した。
 でも、なかなか面白そうなテーマだと思い、調べ始めることにした。しかしこれは、意外に大変な作業になった。第一この頃は、まだミステリーなど書いていなかったし、それどころか本を書こうなどという気も全くなかった。だから、また例によって趣味の範囲で始めたのだけれど資料が集まらない。誰に聞いたらいいのかも分からないから、こつこつと一人で図書館や書店をまわった。
 ところが、段々と図式が完成してくると、何かこれは面白いんじゃないかと思い始めた。ちょっと文章にしてみよう。ちょっと小説風にしてみよう。ちょっとミステリーっぽくしてみよう。
 などと言って書いているうちに、何となく400枚くらいの小説(らしきものに)なった。さて、これをどうしようかと思って、みすてりー好きの友人☆野に見せた。(ちなみに、彼と、もう一人のT――某三菱証券役員――とは、かれこれ35年も付き合っている。いつのまにか、この世で両親の次に長い付き合いになってしまった)
 すると☆野は、
「んー。いいんじゃないの。あ、おやじさん、熱燗一本」
 などと、すぐに気を散らしてしまった。居酒屋で見せたのが敗因だったかも知れない。しかし続けて彼は、実に有効なアドバイスを送ってくれた。
「どこか、ミステリーの新人賞に応募してみたらいいんじゃないの。あ、あと、塩辛ね」
 と言う。そして私は数日後、近くの書店に足を運び、『小説現代』でミステリーを募集しているという情報を発見した――。
 その後のことは、『試験に敗けない密室』のあとがきに書いた次第である。
 なお、本書に出てくる業平や貴撰法師の歌の読解(?)は、全て家の湯船の中で閃いた。そして、アルキメデスのように風呂から飛び出して、バスタオル一枚巻いただけの姿で必死にメモした。幸い我が家には年頃の娘がいないので、誰にも嫌われずにすんだのだが、あの神々しい瞬間のことは、忘れようにも忘れることができない。そして、もしもこの世に風呂がなかったならば、本書は生まれていなかったということも断言できる。
 またこの本は(事件は別としても、歴史解釈の部分で)、全ての資料を総合して考察すれば、7章に入る前に、七福神に関して崇が到達した結論と全く同じ答えを導き出せるはずである。一応、フェア・プレイ精神に則って、こちらの手持ちのカードを全部広げてみた。そのために、蘊蓄部分がかなり長くなってしまったけれど、謎を解くために必要な情報は、全て開示されているはずである。
 まあしかし、どちらにしろ14人もの人間(?)について説明しなくてはならなかったので、既にその知識がある読者にとっては少し冗長に感じられたかも知れない。だが、破壊的なほど歴史に疎い私の同級生たちのことなども考慮に入れて、あえて詳しく書き記してみた。
 目次は、読んでそのままである。