In alcohol is truth...


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recipe-07

Name:ギムレット
 ●ドライ・ジン 1
 ●ライム・ジュース 1/4

 ★シェイクして、グラスに。
Comments:
*スタンダード・カクテル
 桑原崇君が好きなカクテルであるが、私も家でよく作る。その日の気分で、コアントローを少し垂らしたりして楽しんでいる。ライムはもちろん、フレッシュなものを絞る。
 当然このカクテルは、レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』――「ギムレットには早すぎる」――を彷彿させずにはおかない。何度飲んでも、毎回彷彿させずにはおかない。完璧にほど、刷り込まれてしまっている。
 この本の中で、「ヴィクター」のバーの隅に座ったテリー・レノックスが、フィリップ・マーロウに向かって吐いた「ライムかレモンのジュースをジンとまぜて、砂糖とビターズを入れれば、ギムレットができると思っている。ほんとのギムレットは、ジンとローズのライム・ジュースを半分ずつ、他には何も入れないんだ」(早川文庫・清水俊二訳)という有名な言葉がある。この言葉に刺激されて、大勢の人々がローズ社のライム・ジュースを求めて地球上を彷徨ったという。しかし、実際に手に入れてそのレシピ通りに作ってみたら、甘すぎてとても飲めなかったという話を何度か聞いた。
 幸運なことに何年か前、私は浅草のバー「ねも」で、最後の一本だというそのライム・ジュースを偶然に発見して、テリーのレシピ通りに作ってもらった。ところが、噂で聞くほど甘くなくて、とても美味しかった。(その時、感動の余りグラスを持つ手が震えてしまったことを、密かに告白しておこう)
 実は、このローズ社のライム・ジュースには、甘口と辛口の二種類があったらしい。私が飲んだのは、辛口のものだったようで、ギムレットらしいギムレットに仕上がったのだろうと思う。しかしこのライム・ジュースは「芋はうまいな」――いや違った「今はもうない」という。実に残念なことだ。
 ちなみに「ギムレット」というのは、スクリューのような「錐」という意味。喉に――そして心に――キリリと突き刺さってくるカクテルなのである。